最高の未完成。

 

オタクというものは懐古する。

いい意味でも悪い意味でも自分が好きだった時代を。鮮明に記憶に焼き付いた時代を思い出しては『好きだ』と思う。

 

私は2015年、夏の松竹座で上演されていた『少年たち』がめちゃくちゃ好きだ。

私が関西Jrを応援しようと決めた公演だからかもしれない。今でもありありと思い出せることが沢山あるくらい。好きだ。

同年の春に金内くんが退所した。

紫耀とれんれんが東京に引っ張られ春のコンサートから紫耀が松竹座に立たなくなった。

誰もが口々に『関西に氷河期が来る』と言っていたのを他人事のように聞いていた。いや、この時までは他人事だった。推しもいなければ応援するかも決めていない私としては『関西の氷河期』というものが分からなかったしJrの活動すら曖昧にしか分かっていなかった。

そんな『氷河期だ』という言葉を覆して風穴をぶち開けて来たのは他の誰でもない末澤誠也という存在だったと私は今でも思っている。

干されていたと言われる末澤くんであったが実際は関西Jrとしてのステージには立てていなかったが少年倶楽部in大阪では入所からずっといたした、なんならカメラの抜かれる位置に立っていたりもしたから、末澤くんて凄いな。と改めて過去の映像を見ながら実感していた。

『これでダメなら辞めようと思った』そうやって挑んだ中山優馬くんのバックオーディション。私の大好きな8人がここで生まれた。

この8人を選んでくれた屋良っちや優馬くんには感謝してもしきれないし、真鳥くん、古謝くん、今江くん、リチャ、丈くん、朝田くん、大橋くんそして、末澤くんは自分たちで居場所を掴み取ってくれた。

私の大好きな8人がそこで形を成した。

 

優馬くんのコンサート後にはWESTのコンサートが控えていてそこにも関西Jrが付いてくれていた。少し荒削りではあったけど私はそのガムシャラさに胸がきゅぅとなった。

この子達を改めて自分たちのホームとしている松竹座で見たい。そんな気持ちを胸に申し込んだ2015年の少年たち。

春のコンサートに訳も分からないまま連れていかれ見ていた5ヶ月前とは変わって自分の意思で訪れた松竹座。

始まる前からドキドキがハンパなくて暗転した瞬間に舞台に立っていた大吾と康二に口をはくはくさせていたような気がする。

WESTがデビューしてから初めての関西Jrでの舞台は伝統ある少年たちだった。

今思い返せば歌もお芝居もダンスも全員が全員上手かったとは言い難いし、レベルも高いものには見えなかった。ただ、このメンバーで。今の関西Jrで出来る全てを死にものぐるいで楽しみながら見せてくれていた気がする。とにかく、熱量が凄かった。今までに比べ出番が増えセリフが増え後半では体力の無さに顔を顰めている子もいた。BIG GAMEなんて特にだ。

ヘロヘロになりながら踊っていた子達が今ではしっかりと踊ってる姿を見ると擽ったい気持ちになる。

指導者なしで甲子園を目指しているようなそんな勢いの関西Jrが大好きで自分たちで工夫しながらより良いものを作り上げていく現場が好きで、氷河期なんて言ったやつ誰だ。なんて思うくらいに関西Jrは最高の未完成を私に見せつけてくれた。

 

 

そんな関西が少しずつ変わっていったのはいつの頃だろうか。たった数年で目まぐるしく環境が、変わってしまった。

今年の夏も、私の好きな子たちは松竹座の舞台に立たないようだ。きっと他のお仕事だと思っている。今年の爽やかなポスターを見ながら、昨年のことをふと思い出した。

チケットをもぎられ、友人がレターボックスにお手紙を入れているのを見ていると、ふとその隣に幾つか並べられたお手紙があった。

宛名を見るとエイトのツアーに付いている子の名前が書いてあり、何とも言えない気持ちになっている所に追い打ちをかけるようにその並べられた手紙を見て笑う子がいた。

グッと気持ちを飲み込んでグッズ売り場に向かう最中のエスカレーターで先に立っている子が『何で、手紙すら受け取って貰われへんの?そっちの都合で出してないくせに』と言いながら後ろにいた友達であろう子に宥められていた。舞台に出演していないのだから手紙は受け取って貰えないのは分かる。私も居ないから去年の夏、朝田くんへのお手紙は松竹座のレタボに入れることは無かった。

だけど、そうだ。『そっちの都合』なのだ。

エイトのバックに付くことが分かりチケットを探す中で『Jr担お断り』の文字を幾度となく見て心が折れた。私は好きな子たちにすら会うことも許されないんだなぁと途方に暮れた。松竹座にいたらこんな気持ちにもならなかった。その事をつい最近友人に話すと『Jrだって立派な出演者なんだから楽しんでいいんだよ』と言ってくれた。ある子は、『みんな最初はJrだったのに』と言っていた。そう。みんな誰かしらのコンサートにお邪魔していたのだ。しかしデビューしてしまうとそんなことすら忘れてしまう。寧ろ『Jrは要らない』とまで言われてしまう。

 

 

私の好きな子たちは消耗品なんですか?

 

 

 

いや、アイドルは消耗品だ。

流行り廃りが激しく本人の意思に関係なく廃棄されてしまうことだってあるのだ。

でも消耗のさせ方てものがあるだろ。

エイトやWESTのバックに付いた子達は現場で学んだことを『関西Jrの現場』で還元することすら出来ないて意味なさすぎる。

彼らのことを気になって自分たちの舞台に立ってるところが見たいと思ってもらったとしてもそれすら叶わないなんて。

『8人のための自分』と言った真鳥くんの気持ちや、『やっぱり8人でデビューしたい』と言ってくれた朝田くんの思いはどこに行くんだろう。

好きな子たちを舞台に立たせる為にオタクに出来ることてなんだ。

自担が居なくても雑誌買ってアンケート書いて需要がある事をちゃんと提示して。アンケートとは別に感想のお手紙を出版社に書いて。

めげず挫けず試行錯誤してガンガン叩いてはみるけどそれすら無駄なんだろうか。好きな子にお金を落とすことすらできない現状が重い。

だけど、悔しいとは言いたくなくて。

悔しいなんて、本人が1番痛感してるはずだし悔しいとオタクが思う暇なんて無いはずだ。

心無い言葉が魚雷となって向かってきても、要らないなんて言われても 好きな子がステージに立つために押し続けるしかない。途方もない、挑戦はいつまで続くんだろう。

足元を見てしまえば泣いてしまいそうで顔を上げて噛み締める唇は傷だらけになってきた。

 

それでも進もう。

好きな子の素晴らしさを伝える事はオタクにしか出来ないんだ。笑われても笑われても進め。歩け。そこに、私の好きな形が無かったとしても。

宏志朗くんと大晴が戻ってきてくれた。

そこに望んだ形式が無かったとしても彼らが帰ってきてくれた。 

 それを無駄にして欲しくはない。

大切に大切に運営は彼らを育ててください。

 

チャンスはいつだって不平等だけどそれすら味方に付けるくらいに。

括りじゃなくてもいい。私の好きな8人が同じ舞台に立って、私の好きな子たちがみんな『関西Jr』の舞台に立てる日まで。

足掻いて足掻いて踏ん張って。

ペンを武器に。

今日も大好きな君に言葉を綴ろうか。